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第86話 何故か再び首都へ ~アグリサイド~

Author: 光命
last update Last Updated: 2025-06-05 21:00:31

また変な人が増えました……

今度は盾から出てきた執事風の男です。

自己中な元魔王の女。

ゴスロリ風ロリ顔で元魔王にべったりな元四天王の女。

そして、一番きちんとしてそうだけど、やっぱり魔族的な考えが酷い元四天王の男。

何この面々は……

勇者ならもっとこう……

暑く燃え上がる心を持つ戦士!

癒し系の笑顔がまぶしい僧侶!

言葉遣いは荒いが頼りになる魔法使い!

どこかのゲームに出てきそうな奴らが仲間になるって相場が決まっているはずなのに。

なんで俺はこんなメンバーで魔王討伐に向かっているのか……

「おい、おぬし。

 何か良からぬことを考えているな。

 顔に出ておるぞ」

ゾルダは俺の顔を見て、何かに気づいたようだった。

俺は慌てて

「はぁ……

 ソンナコトハナイヨ……」

ため息は出たものの、感情が出ないように抑揚をつけずに答えた。

「アグリもいろいろあるのでしょう。

 ほら、先ほど来た国王の使いからの話とか……」

マリーは一応気を使ってくれているようだけど、そのことを考えていた訳ではない。

そのこともそのことで憂鬱ではあるけど……。

「そうです。

 私どもが国王の下へ行く必要はありません。

 急いで東方面へ向かいましょう」

セバスチャンはゾルダの代弁をするがのごとくアスビモのいると言う東へ向かうことを進めてきた。

「そういう訳にもいかないしね。

 急ぎたいのはわかるけど、国王の話も無下には出来ないし……」

東へ向かう予定だった俺たちは急遽首都であるセントハムへ向かうことになった。

それはいつも国王の使いでお金を届けに来てくれる方々からの話からだった。

『国王様が東へ向かうのであれば、少し遠回りになるが、

 是非ともセントハムへ顔を出してほしいとのことです。

 今までの戦果も大変お悦びで、お連れの方々も含めて歓迎をしたいとのことです。

 歓迎の宴も催したいので、是非にとのことです』

その言伝を聞いて、乗り気になったのは意外にもゾルダだった。

『のぅ、お前ら。

 宴ではおいしい酒が飲めるか?』

『はい!

 国王様が国中の良いものを集めて宴を開くとのことでした』

『うむ、それはいい心がけじゃ』

ゾルダは嬉しそうにうなづいて答えた。

ゾルダは満足げにしているが、いや、これはゾルダの歓迎じゃないだろ。

と心の中で突っ込んでいた。

『……まぁ、アスビモのことは気になるがのぅ……

 こ
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